中国包囲網を目指して世界中を飛び回り、国民受けする外交政策に突っ走る安倍首相ですが、地球規模の問題では一向にリーダーシップを見せられずです。
京都議定書に代わる地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」が11月初旬に発効することになりそうです。日本はと言えば、現在臨時国会が開かれていますが、批准案は後回しで、アメリカ追従のTPP優先、その実、安倍首相の頭の中は憲法改正一色でしょう。5月の伊勢サミットG7で年内発効を目指すことを合意していてもです。
こんな安倍政権でも、支持率は 57%(NHK 9月)とかなり高いところにあり、4月から徐々に上がっています。
理由は色々あるんでしょうが、強気な対中国政策や世界中を飛び回っている姿があたかも世界の中の日本の存在感を高めているように感じられ、日本人のプライドをくすぐっているのが一番のような気がします。
ただ、そうじゃないでしょう。
G20で、正確には会議の前日ですが、アメリカと中国が共同でパリ協定批准を発表しているんですよ。
地球規模でみれば、南シナ海問題は全世界的に共有されている問題ではありません。アメリカでさえ、最終的には黙認でしょう。安倍首相は、アメリカを後ろ盾にしてフィリピンやベトナムと中国包囲網をイメージしているのでしょうが、アメリカはそんなことなど考えていないでしょう。
アメリカが極東米軍と自衛隊の一体化を進めているのは、アメリカの極東戦略が、現在の中国の国力を考え、うまく折り合いをつけてバランスをとることにあり、それが一番自国の利益に叶うと考えているからです。ただその場合でも、広大な太平洋を手放す選択肢はありませんから、その前線の防衛ラインの一部を日本が肩代わりしてくれるのなら願ったり叶ったりでしょう。
おそらく安倍晋三の一番の願いは、日本の独立でしょう。それはそれで間違ってはいませんが、残念ながらその実現を、憲法改正により自衛隊を国軍化し、日米安保に双務性をもたせることで達成しようという、祖父岸信介の思考の延長線上にあり、それは既に過去のものであり時代錯誤の発想だということです。