安倍政権は一体何をしたかったのでしょう?
市民団体が釜山の日本総領事館前(実際は「前」が正しいかどうかは?)に設置した「従軍慰安婦を象徴する少女像」に対抗して、駐韓大使と釜山総領事を帰国させた件、何の解決の方向を見いだせないまま帰国させるらしいです。
最初から分かっていたことですが、日本国内の右派勢力に媚びただけの行為ということです。
そもそも市民団体の行為に対して一気に外交問題化させること自体が政権能力がないということです。
加害者認識のない政権に何を言っても始まらないけれど…
従軍慰安婦問題についての安倍首相の認識は、「(日本政府の)強制性を裏付ける証拠がなかったのは事実」の発言につきます。要は「従軍慰安婦」はいなかったと言っているわけです。
なのに、2015年12月28日の日韓合意文書ではこんなことを言っています。
慰安婦問題は,当時の軍の関与の下に,多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり,かかる観点から,日本政府は責任を痛感している。
安倍内閣総理大臣は,日本国の内閣総理大臣として改めて,慰安婦として数多の苦痛を経験され,心身にわたり癒しがたい傷を負われた全ての方々に対し,心からおわびと反省の気持ちを表明する。
たとえば、自分が何らかの被害者であるとして、加害者が本心では悪いと思っていないのに口先だけで謝罪してきたらどう思います? 誰だって、さらに怒りは増すでしょう。
昨年の12月13日に沖縄でオスプレイが墜落した際、在日米軍の司令官が「遺憾」だと言いつつも「被害を与えなかったことを感謝されるべきだ」と発言し怒りを買いましたが、比べてどうこう言うことではないにしても、「怒り」とはそういうものです。
安倍首相の「次は韓国にしっかり誠意を示していただかなければならない」発言は、在沖海兵隊司令官のローレンス・ニコルソン氏の「感謝されるべき」発言と同じレベルです。
もちろん、韓国政府も、この件については同罪でしょう。どの国も、権力は民衆に抑圧的なものだということです。
安倍さん、市民団体と会ってみたらどうですか?
従軍慰安婦問題、こんなことをしていたら、誰がどう考えても解決なんてするはずがありません。
安倍さん、本当に上の引用にあるように「安倍内閣総理大臣は,(略)心からおわびと反省の気持ちを表明」しているのであれば、「従軍慰安婦を象徴する少女像」を設置した市民団体と会ってみたらどうですか?
そして、その場でこの表明と同等の言葉を語れば、少なくとも日韓のわだかまりは氷解して、あなたのいう「未来志向」の関係を築くことも可能になるんじゃないですか。
「従軍慰安婦を象徴する少女像」を「性暴力廃絶の象徴」に
「慰安婦問題は,当時の軍の関与の下に,多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり,かかる観点から,日本政府は責任を痛感している」わけですから、これを口先だけのものに終わらせず、「従軍慰安婦を象徴する少女像」を受け入れ、気持ちを尽くして「心からおわび」していくことで、確かに日本軍だけではない「性暴力」の廃絶に向けた象徴的なものに転換していくよう努力すべきだと思います。