「安倍首相、女性支援のイバンカ氏基金に57億円拠出を表明」って、産経も朝日もほぼ同じようなタイトルで記事を打ったようで、ネット上は結構大騒ぎ、私も「ええー!?」と思ったんですが、これがどうやら意図的かどうかは分かりませんがミスリードタイトルで、実際は、その基金は世界銀行が運営する「女性起業家資金イニシアティブ」というものらしく、イヴァンカさんは発案者らしいのですが運営には関わっていないというもので、さらに57億円の拠出も「基金設立時の7月8日の外務省発表」されているものということです。
ハフィントンポストが書いています。
まったくもって何を信用していいのかわからない時代なんですが、ハフポストの記事によりますと、
共同通信の配信を受けた毎日新聞、産経ニュースなどのほか、朝日新聞デジタルも同様の報道をした。
とあり、確かにそのタイトルを見てみますと、
共同通信「首相、57億円拠出を表明 女性起業家支援のイバンカ氏基金」
産経「安倍首相、女性支援のイバンカ氏基金に57億円拠出を表明」
と、ほぼ同じですね。
それぞれ記事の本文を読みますと、この基金がイヴァンカ基金ではないことはわかりますから、釣りに近いタイトル付けだということです。
こういう報道って、物事の本筋を曖昧にしてしまいますよね。
たとえば、何のためにイヴァンカさんは来たのかとか、「女性起業家資金イニシアティブ」ってのは何なのかとか、本当に5,000万ドル出すべきものなのかとか、いろんな重要なことが隠されてしまいます。
で、このイヴァンカさんの件で気になっていたのは、11月2日に発表された「ジェンダーギャップ指数」の2017年版で、日本は過去最低だった昨年の111位からさらに落ちて114位だったという件です。
数字だけでどうこう言うのも何ですが、「経済参画」と「政治参画」が低いことが114位という144ヶ国中の下から数えたほうが早い順位となっているわけで、これは単に女性の経営者や役員が少ないとか、女性の政治家が少ないという結果だけではなく、結局、女性が社会的に活躍できる社会的な基盤ができていないということですので、安倍首相が「WAW!2017」でのスピーチで自画自賛する「女性就業者数」の増加や「M字カーブの解消」が決して女性の社会的地位向上や男女共同参画には結びついてはおらず、つまり、女性の就業者数が増えているのは非正規雇用、パートという就業形態が増えている結果だということです。
実際問題、この「WAW!」というイベント自体、安倍首相のキャッチフレーズ「女性が輝く社会」だったかの実践として官僚が考え出した官製イベントだと思います。おそらくそのアピールのためにイヴァンカさんを呼んだのでしょう。
イヴァンカさんのスピーチも、日本側から要求したのではないかと勘ぐりたくなるような「アベノミクスはウーマノミクスです」なんて、アメリカ側が考えた内容とは思えません。
まあそれはともかく、一番上の画像、会場全体の写真を見ればわかりますが、会場はガラガラ、それも前の方に詰められています。これどういうことかといいますと、おそらくほとんど関係者の動員ということです。
こういう会議に意味がないとは思いませんが、あまりにも女性がおかれている日常の状況と乖離しすぎています。
ちなみに、下のリンクが安倍首相の開会のスピーチです。