キューバとアメリカが半世紀ぶりに国交を回復したのが、2015年7月20日、3年になります。翌年の3月20日にオバマさんがキューバを訪問していますが、現在の関係はどうなっているんでしょう? 日本ではほとんど報道がありませんのでよくわかりませんが、トランプさんはオバマさんのやったことは何でも反対ですからね。
本書は、主として、革命前夜となる第二次大戦後のバティスタ独裁時代からキューバ革命を経て核戦争一歩手前までいったキューバ危機あたりまでをフィデル・カストロの行動を軸に描かれています。
著者である広瀬隆氏が、自身のカストロやキューバへの強い思い、言い換えればアメリカ帝国主義への強い反感を隠そうともしていませんので、印象としては歴史書というよりカストロの伝記と考えたほうがいいと思います。
ゲバラについての記述もそこそこありますが、『カストロとゲバラ』と並列されるほど主役ではありません。
当時のアメリカ政府内の内幕などもたくさん出てきますので結構読み応えはあります。ただ、それらがすでに検証された事実であるかは、ソースが明らかにされていませんのではっきりしません。ただ、マイアミからハバナまでわずか300キロあまりであることや、砂糖産業を主とした利権を考えればその多くはさもありなんという感じはします。
この本を読んで一番強く感じるのは、キューバ革命の時代、1959年あたりから1960年といえば、日本は60年安保の時代です。今でさえ日本はアメリカの一州のような存在ですから、その当時であればなおさらアメリカの(世界)戦略に組み込まれていると考えられるわけで、キューバ革命に対するアメリカの対応にしても、キューバ危機にしても、当然それらが日本を含めたアメリカの東アジア戦略に影響していると思われます。
日本の戦後が、アメリカの世界戦略の中にどう位置づけられていたのか、そんな視点で分析された本を読まなくてはと思います。