「ゴー・ホーム・クイックリー GHQ」を読んだことを機に日本国憲法について少し突っ込んで調べる気になり、とりあえず図書館の書棚にあった3冊を読んでみました。
長谷部恭男氏、例の「安保法制」の議論の最中、衆議院憲法審査会での参考人質疑で、自民党推薦の参考人であるにもかかわらず、憲法違反との意見を表明し、一躍時の人となった方です。
この一冊を読めば憲法の基本がわかるという本です。
憲法は何のためにあるのか.立憲主義とはどういう考えなのか.憲法はわれわれに明るい未来を保障するどころか,ときに人々の生活や生命をも左右する「危険」な存在になりうる.改憲論議が高まりつつある現在,憲法典に向けられた様々な幻想を戒め,その本質についての冷静な考察をうながす「憲法再入門」.(岩波書店)
ただ、理由は整理できていませんが、入門書としては読みにくいです。
- 作者: 木村草太,青井未帆,柳澤協二,中野晃一,西谷修,山口二郎,杉田敦,石川健治
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2018/07/13
- メディア: 新書
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「立憲デモクラシーの会」の主要メンバー8名が、一堂に会した注目作!
第1章 自衛隊明記改憲の問題(木村草太)
第2章 「新九条論―リベラル改憲論」の問題点(青井未帆)
第3章 日本人が向き合うべき戦争と平和のあり方(柳澤協二)
第4章 「改憲派」はどういう人々か(中野晃一)
第5章 「ポスト真実」と改憲(西谷修)
第6章 解散をめぐる憲法問題(山口二郎)
第7章 憲法改正国民投票の問題点(杉田敦)
第8章 「真ノ立憲」と「名義ノ立憲」(石川健治)(集英社)
木村草太氏以外のパートは、あまり「憲法」そのものを考える参考にはならないです。
百地章氏、保守派の憲法学者と言われている方です。菅官房長官が、安保法制を合憲としている憲法学者もいるといったその一人です。菅野完氏によれば、「生長の家」原理主義者です。
こうした保守系の方の本を読むことはあまりありませんので逆に面白かったです。
内容的には、憲法とは何かということではなく、日本国憲法には問題あるとの視点から語っており、戦前の大日本国憲法への憧憬が強いのだと思われます。
国家論なき憲法論には意味がないということが基本で、国家=権力機構、あるいは国家=悪というのは間違っており、国家には権力機構である政府と共同体としての国家があり、区別して考えるべきだと言います。
ただ、百地氏による共同体のイメージは、単一民族(と思いこんでいる)の(幻想)日本を想定しているらしく、国家とは、「共通の歴史、文化、伝統を有する国民の共同体、つまり有機体(生命体)」であるとしています。
そして、郷土愛は教えられなくても自然に身につくが、愛国心は教育によってしか育まれないと言います。
本末転倒というしかない論理です。要は愛国教育をしろということなんでしょうが、教育をしなければ、共通の歴史、文化、伝統を有することが出来ないものがなぜ有機的生命体と言えるんでしょう?
他の保守系の方のものも読んでみようとは思います。