随分ご無沙汰している吉田修一を続けざまに2冊読みました。平成猿蟹合戦図 (朝日文庫)作者:吉田修一発売日: 2014/03/07メディア: 文庫 相当エンタテイメントに走ってます。まあ週刊誌(週刊朝日)連載の単行本化なので仕方なのでしょうが、もう少し突っ込んだ話を書いて欲しいですね。って、それは吉田修一的じゃない?内容は、わざわざここに書くような話でもないです(笑)が...
軽蔑 (集英社文庫)作者:中上 健次発売日: 1999/02/19メディア: 文庫 意図的なんだろうとは思いますが、シーンが変わっているのに段落が変わらないとか、主語が分かりにくいなど、すんなりとは読ませてくれません。集中力を要求されます。それだけに読み応えもあり、人の心の奥底をのぞき見たような不思議な感覚にとらわれます。「軽蔑/廣木隆一」は監督自身が傍観者? - そん...
「大きなハードルと小さなハードル」の中の一編。この重い話を青春ものにできるのは佐藤泰志さんくらいではないか。大きなハードルと小さなハードル (河出文庫)作者:佐藤 泰志発売日: 2011/06/04メディア: 文庫 こうである。28歳の高橋君は、今は文子と暮らしている。高橋君は、最近まで、三年と八ヶ月、美智子という女と暮らしていた。美智子は、高橋君の高校の同級生丸山の...
大きなハードルと小さなハードル (河出文庫)作者:佐藤 泰志発売日: 2011/06/04メディア: 文庫 「海炭市叙景」を読み始めて以来、出版されているものでは最後の作品集になってしまった。全体は7編の短編集だが、表題作を含む前半5編は、私小説のようでもある「秀雄もの」と呼ばれているらしい連作である。「美しい夏」「野栗鼠」「大きなハードルと小さなハードル」「納屋のよ...
なぜ自分が佐藤泰志にはまっているのか。それがとても良く分かる作品集だった。黄金の服 (小学館文庫)作者:佐藤 泰志発売日: 2011/05/10メディア: 文庫 「オーバー・フェンス」「撃つ夏」そして「黄金の服」3編が収められている。「オーバー・フェンス」は、多分函館に戻った時の自分自身が反映された作品で、職業訓練学校に通う男を中心にした物語である。学校の科対抗のソフ...
久しぶりに「金原ひとみ」を読んだ。2004年に20歳で芥川賞受賞、文藝春秋が100部売れたというあの社会現象から7年か…。どこかのブログに「蛇にピアス」の感想を書いた記憶があるのだが、どこだったか? 探さねば…。受賞後、立て続け(という印象だった)に出版された「アッシュベイビー」「AMEBIC」「オートフィクション」と読んだが、その後は、チェックもしていなかった。まあ、飽きたということなんだが…...
画像を入れようと検索したら、「移動動物園」「そこのみにて光り輝く」「黄金の服」が文庫化されたうだ。喜ばしい。移動動物園作者:佐藤泰志発売日: 2013/08/30メディア: Kindle版 小学館に「移動動物園」についての説明書きがあったので引用しておこう。『海炭市叙景』で奇跡的な復活を果たした悲運の作家、佐藤泰志のデビュー作が文庫化。山羊、栗鼠、兎、アヒル、モルモ...
かけら (新潮文庫)作者:青山 七恵発売日: 2012/06/27メディア: 文庫 あっけないくらい、すらすらと読み進めてしまう。だが、その行間から浮かび上がる風景は味わい深い。表題作の「かけら」、そして「欅の部屋」「山猫」と、短編3作が収録されている。この3作が並べられているのは意図的なのだろうか、それぞれに語り手の性別や立場が変わり、面白い。「かけら」は大学生の女性...
どうで死ぬ身の一踊り (講談社文庫)作者:西村賢太発売日: 2018/03/09メディア: Kindle版 「苦役列車」に続いて読んだ。2、3週間前に図書館に予約し、その時は「在庫」となっており直ぐに借りられたのだが、今見ると予約が16件も入っている。私と同じ、芥川賞効果なのだろうか。西村氏の藤澤清造への傾倒ぶりは相当なもののようで、これを読むとよく分かる。全てがその...
昨日のことである。路上を自転車で走っていたら、20メートルほど先に、パトカーを止めて、何か取締中(だと思う)の警察官2人がみえた。もちろん、後ろめたいことなど全くない(笑)私は、2人の間を走り抜けようとした。ところが、チラッと目があったのがいけなかったのか、そのうちのひとり、女性警官の方がすーと寄ってきた。やばい!(何もやばくないです!)「すみません。防犯登録はしてますか?」「はっ?」「防犯登...
苦役列車作者:西村賢太発売日: 2012/07/01メディア: Kindle版 いきなり、曩時北町貫多の一日は、目が覚めるとまず廊下の突き当たりにある、年百年中糞臭い共同後架へと立ってゆくことから始まるのだった。の書き出しである。まいった。「のうじ」とかなは振ってあるのだが、意味どころか、そもそも「曩時北町貫多」が何を指すのか、まあ読めばおよそ人物とは分かるのだ...
海を越える日本文学 (ちくまプリマー新書)作者:張 競発売日: 2010/12/08メディア: 新書 日本の文学作品の翻訳事情を知るための入門書としては、まあまあ良い本だと思うが、この手の本にしては、記述が系統立っておらず、ややとりとめのない印象を受ける。ただ、さすがに中国での日本文学の受け取られ方については、記述も多く、説得力がある。なぜ村上春樹が海外で評価されるのか...
人生には、その時自分は何をしていたかと、いつまでも記憶に残ることがある。3日を経てもなお、被害の全体がつかめないという、想像をはるかに超えた「東北関東大地震」もそうなるのだろう。昭和45年11月25日三島由紀夫自決、日本が受けた衝撃作者:中川右介発売日: 2013/05/31メディア: Kindle版 昭和45年11月25日。三島由紀夫が自衛隊市ヶ谷駐屯地で割腹自決(...
佐藤泰志ブームという言葉もちらほら。この「そこのみにて光輝く」も4月に文庫で復刻されるらしいです。そこのみにて光輝く (河出文庫)作者:佐藤 泰志発売日: 2011/04/05メディア: 文庫 本当にすばらしい作品です。こういうものが埋もれていたなんて、と言うより、私が知らなかっただけですが、その時代に正当な評価を受け、そして売れていれば、また佐藤泰志さんの人生も変わっ...
1Q84(BOOK1~3)合本版(新潮文庫)作者:村上春樹発売日: 2020/12/18メディア: Kindle版 まずもって、上の楽天へのリンクを作成する際、検索ワードに「1Q84」と入れて驚いた。「〜を読み解く」やら「〜研究」やらと解説本がぞろぞろ出てくるのだ。単に一作品の出版にとどまらず、一大産業の如しだ。それはさておき、「風の歌を聴け」以来、主だった長編作品を順...
きみの鳥はうたえる (河出文庫)作者:佐藤 泰志発売日: 2011/05/07メディア: 文庫 「海炭市情景」以来、はまっている。「きみの鳥は歌える」に併載されていた「草の響き」。全編、自律神経失調症に苦しむ主人公が、医者に勧められ、走り続ける話だが、その間に出会う暴走族のリーダー「ノッポ」が自死を選ぶ描写などあり、本人の生涯を考え合わせると何ともやるせない。どの作...
きみの鳥はうたえる (河出文庫)作者:佐藤 泰志発売日: 2011/05/07メディア: 文庫 海炭市叙景を読み、佐藤泰志に興味を持った。芥川賞の候補となった5作品のうち、最初の作品「きみの鳥はうたえる」を読んだ。すばらしく良かった。青春、その時にしか味わえない、熱く、切なく、そしてこの上なく危うい濃密な時間が生き生きと描かれている。なぜ、芥川賞をとれなかったんだろう...
海炭市叙景 (小学館文庫)作者:佐藤 泰志発売日: 2010/10/06メディア: 文庫 名古屋では、まもなく、今週末からだったと思うが、公開される予定の「海炭市叙景」を見るに先だって、原作を読んでいる。残り2,3章(正確には、章ではなく節)、今日中には読み終えることになりそうだ。第1章第1節の「まだ若い廃墟」は、かなり印象的だ。炭鉱を解雇された失業中の兄と妹が、正月、...
ひとり日和 (河出文庫)作者:青山七恵発売日: 2014/05/30メディア: Kindle版 とても新鮮な感じで読んだ。主人公知寿のつぶやきのような文体が、村上春樹の説明過剰なワンパターン小説を読み続けている私には、すうーと心が晴れるように感じられた。村上春樹など典型的だが、男の書く「女性」は、男の願望のような存在が多く、男の私でさえ、ちょっと違うんじゃないのと思うこ...
最近は、ブログも随分歯抜け状態になってきた。こうやって、ついには書かなくなり、しばらくすると他のプロバイダーで始めたりするという(笑)…、全く持っての情けなさ。で、「永瀬正敏、2週間で12キロ減量して...