別サイト「そんなには褒めないよ。映画評」のよく読まれている記事に「こちらあみ子」が上がっていましたので読み直して、その記事の中のこの「今村夏子著『こちらあみ子』感想・レビュー・書評・ネタバレ」のリンクをクリックしてみました「記事が見つかりません」の表示となり、え?! と調べてみましたら、ちょうどはてなブログから WordPress に移した時の記事らしく移し忘れだったようです。以下は、2...
この星のどこかにあった、誰も知らない33の物語上の見出しは「筑摩書房『百年と一日』」からの引用です。『ちくま』2017年11月号〜2019年9月号に隔月掲載された連載『はじめに聞いた話』に加筆修正されたものが2020年に単行本化された本です。柴崎友香さんの単行本としては最新刊になるようです。とても変わった小説です。33の物語を集めた短編集ですが、それぞれ...
金原ひとみさんは本当に心の奥底からほとばしるような文章を書きます。金原さんの小説を読むのは3年前の『アタラクシア』以来です。ウィキペディアを見ましたらその間に3冊も出しています。過去に私の読んだ中には『TRIP TRAP/トリップ・トラップ』なんてかなり雑な(ペコリ)ものもありますのでなんとも言えませんが、あまり書くことに苦労しないタイプの作家なんでしょう。...
今年2022年上半期の芥川賞受賞作です。ずいぶん前に読み終えているんですが、少し書き始めたまま下書きで眠っていました。これといって書くことがない今どきのテレビドラマのような小説です。でも、うまいです。おもしろく感じるところも多いです。書くことが楽しそう著者本人のインタビュー記事を読んだからかも知れませんが、書くことが楽しいということが伝わってくる文章です。その日...
2017年上半期の芥川賞候補となった温又柔(おんゆうじゅう)さんの小説です。温又柔さん、宮本輝氏の批評に怒る台湾人の母と日本人の父を持つ日本育ちの琴子が上海へ語学留学する話です。ウィキペディアによれば、温又柔さんは「台湾・台北市生まれで、3歳より東京都で育つ。両親は台湾人」ということらしく、そうした本人の出自がベースになっていると思われる小説です。...
この小説の映画化「帰らない日曜日」を見てどんな小説なんだろうと興味を持ち読んでみました。小説と映画という表現形態の違いがはっきり出ています。ただ、ジェーンの人物像については小説を読んだ後でも映画のジェーンに違和感はありません。映画がよくできているということだと思いますマザリング・サンデー (新潮クレスト・ブックス)作者:グレアム・スウィフト新潮社Amazon映画と原作小...
中川龍太郎監督に注目しているということもあり、「やがて海へと届く」を見て原作を読んでみました。どことなく感じていたしっくりこないいくつかのわけがわかりました。やがて海へと届く (講談社文庫)作者:彩瀬まる講談社Amazon小説でもすみれの存在感はうすい湖谷真奈の恋の物語フカク、フカク私たちは世界の片側しか見ていない小説でもすみれの存在感はうすい原作でもすみれの...
吉田修一さんの本は久しぶりだなあと思って読んだのですが、なんと一年前に『湖の女たち』を読んでいました。記憶に残るものが少なくなってきているんでしょうか、怖いですね(笑)。ミス・サンシャイン (文春e-book)作者:吉田 修一文藝春秋Amazon優しい登場人物たち映画愛恋心と愛長崎原爆優しい登場人物たち吉田修一さんの小説に出てくる人物は皆優しいです。この『ミス...
ウスビ・サコさんの名前を何で知ったのかははっきりとは記憶していませんが、多分大学の学長になられたことをネットで見たんだと思います。2018年の4月から京都精華大学の学長を務めてみえます。そのサコさんが日本での生活や日本の価値観に感じることを書いています。かなり厳しい指摘が多いのですが「なんでやねん」などと関西弁が多用されていますのでイヤミはありません。バンバラ語、英語、フランス語、中国語、そして...
『きょうのできごと、十年後』を読み、面白かったのでデビュー作『きょうのできごと』も読んでみました。デビュー作とは思えないほど軽やかで余裕があります。余裕ってのも変ですね、気負いがないという方があたっているかもしれません。きょうのできごと: 増補新版 (河出文庫)作者:柴崎友香河出書房新社Amazon過ぎ去りし青春1、レッド、イエロー、オレンジ、ブルー2、ハニー・フラ...
青木理さんの著書は『日本会議の正体』『安倍三代』、そして『時代の抵抗者たち』と読んできています。批判することや異議を唱えることが嫌われるこの時代にあって、テレビのコメンテーターとしても常に権力を監視することこそがジャーナリストの役目であるとのスタンスを守り続ける数少ない人物です。破壊者たちへ作者:青木 理毎日新聞出版Amazon誰がこの国を壊したのか?われわれは日本の現...
昨年末、一日中ただ本を読むくらいしかやることがない(できない)一日を過ごさざるを得なくなり、図書館で2冊借りてその日のうちに読んだものの1冊です。日常の会話文が多い小説ですのであっという間に読めてしまいます。きょうのできごと、十年後 (河出文庫)作者:柴崎友香河出書房新社Amazon過ぎ去りしものは戻らないが…5、真夜中の散歩 誰かのきょうのできごと1、空の青、川の青...
ダグ・リーマン監督の「カオス・ウォーキング」をみて結構面白かったので原作を読んでみました。ただ、原作はこの『心のナイフ』から『問う者、答える者』『人という怪物』と続く三部作とのことですので、読んだといっても第一部だけです。心のナイフ上 混沌の叫び作者:パトリック・ネス東京創元社Amazon心のナイフ下 混沌の叫び作者:パトリック・ネス東京創元社Amazon...
「#検察庁法改正に抗議します」のハッシュタグを最初に発信した「笛美」さんの…と書いてキーボードを打つ指が止まってしまいました。この本は、なんて表現すればいいんでしょう? もちろん小説ではありませんし、んー、著作ですかね。と、出版元の「亜紀書房」を見てみましたら「エッセイ」となっていました。ぜんぶ運命だったんかい――おじさん社会と女子の一生作者:笛美亜紀書房Amazon2...
千葉雅也さん、この『オーバーヒート』も前作の『デッドライン』に引き続いての芥川賞候補です。残念ながら受賞は逃しています。オーバーヒート作者:千葉雅也新潮社Amazon『デッドライン』の続編…「言語は存在のクソだ!」やはり私小説若さへの決別芥川賞選者の選評がおもしろい『デッドライン』の続編…と言ってもいいほど、人物的にはつながっています。『デッドライン』の主...
映画「Arc アーク」を見て、こんな陳腐な(ペコリ)映画になってしまう SFの原作とは一体どういう作品なんだろうと図書館に予約しておいたものがやっと順番が回ってきました。ケン・リュウさんという作家を知りませんでしたのでその興味もあります。あらためて映画を見たのはいつだったんだろうとレビューの日付を見てみましたら、なんと今年の6月25日です。1年くらい前の感覚なのに、まだふた月半です。もの...
村上春樹さんの短編小説『ドライブ・マイ・カー』が濱口竜介監督によって映画化され、現在カンヌ映画祭のコペンティションに出品されています。その小説は『女のいない男たち』という短編集に収録されており、映画を見る前に読んでみました。女のいない男たち (文春文庫)作者:村上春樹文藝春秋Amazon映画は8月20日公開小説「ドライブ・マイ・カー」ネタバレあらすじ チェーホフ「ワ...
著者の木俣正剛さんは文藝春秋社に40年間勤められ、その間に『文藝春秋』や『週刊文春』の編集長を担当され、2018年の退社後は岐阜女子大学文化創造学部の教授として教鞭をとられ、現在は同大学の副学長の職にある方です。その木俣さんの文春時代の回想録です。 文春の流儀 (単行本)作者:木俣 正剛中央公論新社Amazon文春砲の内幕本じゃないよ週刊文春はもちろんのこと、文藝春秋で...
昨年2020年の「すばる文学賞」受賞作であり、2020年下半期の「芥川賞」候補作です。その「芥川賞」の受賞作は、宇佐美りんさんの『推し、燃ゆ』でした。コンジュジ (集英社文芸単行本)作者:木崎みつ子集英社Amazon川上未映子さん超絶賛 客観的に語られるイマジナリーフレンド人物に実在感がないリアンとの出会いこの小説がリアンの伝記本のようベラさんのことも知りたい...
別ブログで映画のレビューを書いていますが、「娼年」あたりから松坂桃李さんへの注目度が上がっており、「孤狼の血 LEVEL2」公開前に予習をしておこうと「孤狼の血」をDVDで見たところ、何だ、この下品な話(映画)は?! と驚いたものですから原作を読んでみました。原作はいたってまともなエンターテインメント小説でした。孤狼の血 「孤狼の血」シリーズ (角川文庫)作者:柚月裕子発売日: 2...