柴崎友香著『寝ても覚めても』 映画も良い、原作も良い

2018.09.22

映画,

寝ても覚めても: 増補新版 (河出文庫)作者: 柴崎友香出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2018/06/05メディア: 文庫この商品を含むブログ (3件) を見る 映画が良かったので原作を読んでみました。面白いですね。この小説からあの映画が生まれるのかとも、この小説だからあの映画なんだとも、なんとも不思議な感じで、このふたつ、随分雰囲気は違うのですが、た...

鴻上尚史著『不死身の特攻兵』軍神はなぜ上官に反抗したのか

2018.09.14

, 歴史

不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか (講談社現代新書)作者: 鴻上尚史出版社/メーカー: 講談社発売日: 2017/11/15メディア: 新書この商品を含むブログ (15件) を見る 日本人に共通する死生観というものがあるのか、特攻隊と聞きますと純化された死のイメージが強く、なかなか「戦争」という現実の中で語ることができずにいるような気がします。この本は、佐...

広瀬隆著『カストロとゲバラ』

2018.08.20

カストロとゲバラ (インターナショナル新書)作者: 広瀬隆出版社/メーカー: 集英社インターナショナル発売日: 2018/02/07メディア: 新書この商品を含むブログを見る キューバとアメリカが半世紀ぶりに国交を回復したのが、2015年7月20日、3年になります。翌年の3月20日にオバマさんがキューバを訪問していますが、現在の関係はどうなっているんでしょう? 日本で...

平野啓一郎著『マチネの終わりに』 平成のすれ違いメロドラマ、 真ん中あたりで投げ捨てなければ(笑)読み応え充分

2018.08.02

マチネの終わりに作者: 平野啓一郎出版社/メーカー: 毎日新聞出版発売日: 2016/04/08メディア: 単行本この商品を含むブログ (21件) を見る 久しぶりに平野啓一郎さんを読みました。映画化が決まっているようです。www.fashion-press.net確かに映画向きの話です。恋愛、それもアラフォーの純愛ものですから、福山雅治さんというキャスティ...

「ベロニカとの記憶」の原作=ジュリアン・バーンズ著『終わりの感覚』

2018.02.04

映画,

終わりの感覚 (新潮クレスト・ブックス)作者: ジュリアンバーンズ,Julian Barnes,土屋政雄出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2012/12/01メディア: ペーパーバック購入: 2人 クリック: 12回この商品を含むブログ (31件) を見る 映画「ベロニカとの記憶」の原作です。 映画とは随分印象が違います。表現形態の違いと言ってしまえばそれま...

三浦しをん著『光』

2018.01.09

光 (集英社文庫)作者: 三浦しをん出版社/メーカー: 集英社発売日: 2013/10/18メディア: 文庫この商品を含むブログ (15件) を見る 映画「光」 を見て、いくら何でも原作はこんなにひどくないだろう(ペコリ)と思い読んでみました。んー、原作も結構あっさりしていますね。ただ、やはり物語の軸は、映画「光」(ほぼネタバレ)全員ミスキャストに見えてしまう、そ...

紗倉まな著『最低。』

2017.12.27

最低。作者: 紗倉まな出版社/メーカー: KADOKAWA/メディアファクトリー発売日: 2016/02/12メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 瀬々敬久監督「最低。」を見て原作を読みました。 4人の女性、彩乃桃子美穂あやこ

梯久美子著『狂うひと』島尾ミホ『海辺の生と死』

2017.11.30

狂うひと ──「死の棘」の妻・島尾ミホ作者: 梯久美子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2016/10/31メディア: 単行本この商品を含むブログ (31件) を見る 映画「海辺の生と死」を見て、島尾ミホ著『海辺の生と死』や島尾敏雄著『死の棘』とあわせて読みました。この『狂うひと』は、島尾ミホさんの評伝という位置づけになるかと思いますが、かなりの力作で、ある種神話...

フィリップ・ジャン著 松永りえ訳『エル ELLE』(Oh…)

2017.11.16

映画,

映画を見て興味を持ち読んだ本です。movieimpressions.com上のリンクの映画のレビューでは、おそらく元々は、被害女性が、レイプ犯は元夫?恋人?部下?隣人?といろいろな仕掛けをして追い詰めていくサスペンスが基調ではではないかと思うと、原作を想像して書きましたが、全く違っていました。ミシェルのキャラクターはともかく、映画はかなり原...

坂野潤治著『帝国と立憲』いざ戦争になった時、我々は反戦を貫けるか?

2017.11.08

日々閑々,

帝国と立憲: 日中戦争はなぜ防げなかったのか (単行本)作者: 坂野潤治出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2017/07/20メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る たまたまではないとは思いますが、タイトルに「立憲」と入った坂野潤治さんの新刊が出ました。明治維新から太平洋戦争敗戦までの70年余りを「帝国」と「立憲」という対立する概念からとらえな...

角田光代著『月と雷』 聖と俗みたいなもんですかね…

2017.11.02

月と雷 (中公文庫)作者: 角田光代出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2015/06/26メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る 映画を見て面白い話だなあと思い原作を読みました。映画の感想はこちら。movieimpressions.com映画はおおむね原作通りに作られていますね。ただ、書き出しが智(さとる)を主人公にした記述で始まりますので...

角田光代著『私のなかの彼女』

2017.10.26

私のなかの彼女 (新潮文庫)作者: 角田光代出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2016/04/28メディア: 文庫この商品を含むブログ (4件) を見る 映画「月と雷」をみて、原作を読もうとしたのですが、図書館では全て貸し出されていましたので書棚にあった最新のものを借りてみました。書き出しはつまらないなあと思ったのですが、しばらく読むうちに、何だか甘い二人(和歌と...

小川理子著『音の記憶』

2017.09.03

「日本の会社で働く全ての女性に贈る  働くこと、愛すること、継続すること。」とのコピーがつく、現パナソニック(株)執行役員であり、ジャズピアニストとしてビクターから CDも出している小川理子(みちこ)さんの松下電器入社から現在に至る自らの成功体験本です。 音の記憶 技術と心をつなげる作者: 小川理子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2017/02/27メディア: 単行本この...

上間陽子著『裸足で逃げる』

2017.08.25

裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち (at叢書)作者: 上間陽子,岡本尚文出版社/メーカー: 太田出版発売日: 2017/02/01メディア: 単行本この商品を含むブログ (5件) を見る 沖縄に暮らす6人の女性たち。虐待、DV、レイプ、その多くの女性が10代にして出産、シングルマザーとしてキャバクラなど夜の街で働きながら子育てをしているという現実です。琉球大学教...

東山彰良著『僕が殺した人と僕を殺した人』(ネタバレ)面白いのですが、書ききれていない印象です

2017.08.16

面白かったのですが、直木賞受賞作「流」と同じように集中するところまでいくには結構時間(ページ数)がかかります。 僕が殺した人と僕を殺した人作者: 東山彰良出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2017/05/11メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る この作家の特徴ですかね。入り込めば後はすんなりなんですが、どうしても出だしで躓きそうになります。...

柴崎友香著『春の庭』写真で言えば、標準レンズ、望遠レンズ、そして超広角レンズの感覚

2017.07.09

頑張って読んだらかなりいい作品でした!って感じです。春の庭作者: 柴崎友香出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2014/07/28メディア: ハードカバーこの商品を含むブログ (60件) を見る 読み始めて、あれ?これ読んだことあるかも?と思いながら数ページ読み進んだのですが、どちらとも確信がもてません。どうやら前回は途中で投げ出...

望月衣塑子著『武器輸出と日本企業』

2017.06.27

日々閑々,

例の加計学園問題での菅官房長官の記者会見で、徹底的に食い下がって、答えているようで何も答えていない菅官房長官の欺瞞をあからさまにした東京新聞の望月衣塑子さんの著書『武器輸出と日本企業』を読んでいることもあり、この記事がちょっと気になりました。海自最新鋭機、仏にたどり着けず 関係者「恥ずかしい」:朝日新聞デジタル【P1哨戒機】海上自衛隊の最新鋭機、フランスにたどり着けず...「恥ずかしい」と関...

藤沢周著『武曲』映画を原作と比べてみると脚本の酷さがわかる

2017.06.26

映画,

武曲 (文春文庫)作者: 藤沢周出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2015/03/10メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る 映画「武曲」を見て、その際、原作の読書メーターなど読むにつけ、むちゃくちゃ面白そうな小説だと思い読んでみました。ausnichts.hatenablog.jp正直なところ、読書メーターなどの感想で想像したものとはまったく...

森元斎著『アナキズム入門』

2017.05.27

アナキズム入門 (ちくま新書1245)作者: 森元斎出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2017/03/06メディア: 新書この商品を含むブログ (4件) を見る この本を読んで一番疑問に思うことは、本当にこういう文体の本が売れるのだろうか?ということと、出版側は本当に売れると思っているのだろうか?ということです。こういう文体を何ていうんでしょうね? 口語体で、な...

ダニエル・ケールマン著『僕とカミンスキー 盲目の老画家との奇妙な旅』瀬川裕司訳

2017.05.11

映画,

僕とカミンスキー作者: ダニエル・ケールマン,瀬川裕司出版社/メーカー: 三修社発売日: 2009/03/01メディア: 単行本クリック: 8回この商品を含むブログ (7件) を見る 映画を見て原作を読みました。ausnichts.hatenablog.jpびっくりするくらい映画と同じでした。ああ、逆ですね、映画がほぼ原作通りに撮られていました。細かいところま...