今や大手メディアでは忘れ去られてしまった話題の曽野綾子氏アパルトヘイト肯定発言ですが、斉藤環氏の寄稿と(別記事)アンケートが流れていたので、一言。
まずはアンケート。
アパルトヘイト発言?の曽野綾子問題で緊急アンケート、あなたは理解できますか? – エキサイトニュース(1/2)
「理解できる部分はある」が42・33%って、ホントかい!? ネタ元の「週プレNEWS」って何かなあと思いましたら、「週刊プレイボーイ」じゃないですか。じゃあ、この結果もアリかもと思って斉藤環氏の起稿を読みましたら、そのいかにもと思う慣れに落とし穴があると怒られてしまいました。
斉藤氏は、曽野綾子氏はもともとアパルトヘイト容認などのトンデモ発言をするキャラなのだから仕方ないョと、その発言を免責してしまうことはむしろ差別なのだと皮肉っているわけです。
この問題、そもそもの発端は曽野綾子氏が2月11日の産経新聞に書いたコラムなんですが、問題になっているものを要約するとさらに誤解が生じますので下のリンクにその記事が掲載されていますので読んでくださいませ。
で、その後、荻上チキ氏がTBSのラジオ番組「荻上チキ・Session-22」で曽野氏に直撃インタビューをしたらしく、その模様がポッドキャストで流れていたのですが、なぜか今はリンクが切れています。
と思いましたら、こちらに全文書き起こした方がみえます。
荻上チキによる曽野綾子氏へのインタビュー書き起こし – さかなの目
なにやらリンクだらけになってしまいましたが、ここからが本題(というほどでもない)です。
本題
まずこのコラムを読むと曽野綾子氏がそもそも差別主義者、というより現代的意味における「差別」自体が理解出来ない人なんだということが分かります。83歳という年齢だからという言い方をするとそれ自体が年齢による差別になってしまいますが、育ってきた教育や環境で人は見えるものが違ってくるということです。
たとえば、高齢者の面倒をみるのに、つまり介護に「衛生上の(?)専門的な知識」はいらないだのと介護士という職業自体を、そのつもりがなくても見下しています。
また、その介護を「労働移民」で補えばいいという段でも「外国人の娘さん」だの「近隣国の若い女性たち」だのと、自らは職業として認めていない労働を女性、それも外国人の女性にやってもらえばいいと、自ら気づかずとも差別的発言をしています。
で、挙げ句の果てが、件のアパルトヘイト容認発言です。
なぜ、「他民族の心情や文化を理解するのは難しい」ことを言いたいがために、20~30年前にたまたま知ったあるひとつの事例を取り上げて、それも自分が体験したことでもなく、多分伝聞にもとづいているのだろう事例を一般化してしまうのでしょう?
曽野綾子氏は保守の論客と言われているそうです。
このコラムを読んでもとても論客とは思えないのですが、荻上チキ氏のSession-22を聴いて(まだリンクが活きている時に聴きました)、さらにびっくりしました。
書き起こしを読んでもらえば分かりますが、「差別ではなく区別」だの言い訳に終始しています。人種で区別することが差別でなくてなんなんでしょう? 法律や強制でなければ差別ではないってちょっと理解出来ません。
書き起こしではニュアンスが分かりづらいところもありますが、チキ氏に突っ込まれてしどろもどろっていうのがこのインタビューの実際です。
で、結論。この曽野綾子氏が論客だと言われていること自体が日本の保守層の幼稚さを現しています。これでは議論が成立しません。