芥川賞受賞作『土の中の子供』以来です。えー、もう10年前ですか…。
あまり記憶していませんが、内容の重さに対して、表現力や文体がついてきていなかった印象が残っています。
偉そうな言い方になりますが、さすがに10年ともなれば、成長も著しいですね。余計なものも削ぎ落とされ、文体も洗練され、表現が気にならずに内容に入っていけます。
その内容は?と言えば、そうですね、自己とは何か? ということになるのでしょうか。
ややこしい話です。精神分析が軸になっており、治療法がいくつかでてきますが、その治療により、過去を喪失させたり、他の人格にさせたり(かな?)、精神に異常を帰させたり、自殺したり、と、こんなところに入り込んで著者自身大丈夫?というような内容です。
中に、宮崎勤の分析や資料ファイルと題された、学術系を意図した文章がありますが、あれ、いらないですね。大きなお世話だとは思いますが、素人学説のような印象です。
20代、30代くらいなら、かなり入り込んで読んだと思いますが、さすがにこの歳(?)になりますと、正直、そんなことどうでもいいんじゃないの(スマソ)と思ってしまいます。
要は、人間、他人のことはもとより、自分のことだって、死ぬまで、いや、死んでも分かりっこありません、と身もふたもないことを思ってしまう人間には、無用の小説かもしれません。
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