例の加計学園問題での菅官房長官の記者会見で、徹底的に食い下がって、答えているようで何も答えていない菅官房長官の欺瞞をあからさまにした東京新聞の望月衣塑子さんの著書『武器輸出と日本企業』を読んでいることもあり、この記事がちょっと気になりました。
海自最新鋭機、仏にたどり着けず 関係者「恥ずかしい」:朝日新聞デジタル
【P1哨戒機】海上自衛隊の最新鋭機、フランスにたどり着けず…「恥ずかしい」と関係者
記事の要点は、海上自衛隊が開発したP1哨戒機2機がフランスで開かれた国際航空ショーに参加するため日本を出発したけれども、1機がトラブルのために経由地のジブチに留まったままショーに参加できなかったというものです。
で、何となく気になったのがこの記事の最後にあること文章です。
防衛省は2機のショーへの派遣は公表していたが、1機が参加できなかった経緯は公表していない。
公表されても新聞なりネットなりで記事にならなければ、あえて防衛省のサイトでも覗かない限り目にすることもないですし、仮に記事になっても目を留めたかどうかもわからないのであまり大きなことは言えないのですが、こういった類のことで公表されないことがいっぱいあるんだろうということに改めて気付かされたということです。
日本の武器輸出に関する指針は、長く「武器輸出禁止三原則」と呼ばれる基本的な原則で自己規制されてきています。
2014年の4月まではです。
その年4月1日に、第二次安倍政権のもと「防衛装備移転三原則」というものに変更されています。
一概に安倍政権が180度転換させたというわけではなく、防衛省、自衛隊を中心とするその方面の圧力がじわじわとあったものを安倍政権誕生で一気に堰が切れたように走り始めたということだとは思います。
で、この「防衛装備移転三原則」とは何かですが、事実上日本の武器輸出が解禁されたもののようです。三原則は、こういう国や場合には輸出しないとの取り決めですが、それにより「禁輸対象となる国は、北朝鮮、イラク、ソマリアなどわずか12ヵ国だけ」と望月氏は書いています。
引用した写真の P1哨戒機は川崎重工が自衛隊とともに開発し製造したいわゆる純国産機のようです。早い話、航空ショーに展示して売り込みにいっているということです。
国産であるかどうかは、結局国産でなければアメリカから買っているわけですから何が良い悪いの話ではありませんが、日本の軍需産業は一体どうなっているのかくらいは日々気にしておくべきことだとは思います。