中日新聞9月14日の朝刊です。菅官房長官がパウエル元国務長官の(おそらく)回顧録の「記者には質問する権利がある。私には答えない権利がある。そう思ったら楽になった」が参考になり、「真正面の答えをしないことはよくある」と語ったという内容です。
ネットニュースに同様の記事はないかとググりましたら産経しかないですね。
これ、笑って済ませられることではないです。
ひとつは、国家権力と個人の権利を同等に考えていること。国家の権利ということは国家権力ということです。秘匿権を持った国家権力なんて独裁国家のことですわね。
次に、(おそらく)パウエル元国務長官が言っていることは、過去、記者の質問攻勢に苦しんだ時にこういう考え方をして自己崩壊(ちょっとオーバー?)を回避したということであって、「国家権力に答えない権利がある」と主張しているわけではないと思います。
おそらく、パウエル元国務長官が在任中にこうした発言をしたとしたらきっと大騒ぎになったことでしょう。
菅官房長官にはそうした認識が全くありません。自分が強大な国家権力の上に立っているということを認識せず(出来ず)、「この記者、鬱陶しいやつだ!」くらいの感覚で「権利」を語っています。
そして、なぜラジオ番組で語るかということです。記者会見という場があるにも関わらず、その場では「当たらない」だの「それは主観だ」だのと、答える答えない以前に質問に突っぱねるだけということを繰り返しておきながら、居心地のいい(かどうかは知りませんが)私的な場所で、つまり反論が出ないことがわかっている場所でこういうことを言うわけです。
安倍首相が、日本会議系の集会で、それもビデオメッセージで「新憲法2020年施行宣言」したことと全く同じことです。
ちょっとばかり個人攻撃的なことを言いますと、安倍首相も菅官房長官も、「公」と「私」が未分化なんですよ。
そういう人物が国家権力の中枢につくということは、地球儀を手の上でくるくると弄ぶことに似て最も危険なことですよ。
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