やはり21世紀の安全保障は軍事ではなかった

新型コロナウイルス感染が世界中に広まる中、今まで見えていなかったことや見えていても見ようとしなかったことがはっきりと眼前に現れ始めています。

そのひとつが国家安全保障に関して極端に軍事的側面に力を入れてきた安倍政権の誤りです。

医療崩壊?

新型コロナウイルスの感染者が増え、医療崩壊の可能性が囁かれ始め、ついにはその危機が迫り、今日(8日)、7都府県に緊急事態宣言が発令されました。

え!? 日本の医療体制ってそんなに脆弱だったの? と誰もが思うと思います。

集中治療室(ベッド)の各国比較グラフがありました。なんと10万人あたり、日本では 7.3 しかありません。今、医療崩壊が叫ばれているイタリアでさえ 12.5 です。

ただし、日本は2017年のデータ、EUは2012年のデータとありますので、イタリアは財政難のためにもっと減っているかもしれません。

• Chart: The Countries With The Most Critical Care Beds Per Capita | Statista

人工呼吸器の不足も報道されています。

東京新聞:<新型コロナ>人工呼吸器 9府県不足か ピーク時、重症用:社会(TOKYO Web)

日本呼吸療法医学会が今年の2月に人工呼吸器や人工心肺装置「ECMO(エクモ)」の台数を調査したデータとのことです。

新型コロナウイルス対策ダッシュボード

「新型コロナウイルス対策ダッシュボード」というサイトが立ち上がっています。福井県鯖江市の福野泰介さんというソフトウェア会社をやっている方が開発したそうで、関連機関のデータとリアルタイムにリンクしているとのことです。

今現在(9日)の都道府県別「現在患者数/感染症病床数」のキャプチャです。

東京、神奈川は完全にパンクしていますね。

食料自給率37%

日本の食料自給率の低さは常々言われてきたことですが、農林水産省が発表しているカロリーベースでの自給率は平成30年度においてわずか37%です。

日本の食料自給率:農林水産省

「日本農業新聞」が各国の輸出規制の現状を報じています。


記事は危機を煽るものではなく、「日本は影響限定的」として農水省のコメントも紹介しています。

世界中で穀類在庫が減り、食料価格が高騰した2008年と比べ、潤沢な供給力があり、FAOなど国際機関は大きな混乱は避けられていると判断する。農水省も「日本は、これらの国からの輸入実績は大きくない。影響は限定的だ」(食料安全保障室)とみている。

ただ、現実をみれば、食料ではありませんが、マスクは手に入りませんし、消毒液もありません。

防衛費予算

日本の防衛費を見てみますと第2次安倍政権(2020/12/26~)からうなぎのぼりです。2011年が東日本大震災ですから翌年2012年は近年では最も低くなっています。

財政に関する資料 : 財務省

詳細を見なければ一概にどうこうとは言えませんが、医療費など社会保障費が年々膨らんでいることを考えれば、おそらく文教及び科学振興やその他の予算が減らされていると思われます。

政府組織崩壊

これが一番根源的な問題です。

組織というのは責任ある立場の者が最後には責任を取るという前提で統制がとれるわけで、その前提が壊れれば誰も職務を果たそうとはしません。ドラマではありませんが、最後は私が責任をとるから思い切ってやれと言われれば、いろいろアイデアを出したり、前向きに行動したりできます。

責任を取ればいいというものではありません

緊急事態宣言発令前の7日の安倍首相の会見で、イタリア人記者に「失敗だったらどういうふうに責任を取りますか」と問われて、安倍首相は「最悪の事態になった場合、私が責任を取ればいいというものではありません」と答えています。1:01:55あたりです。


「緊急事態宣言」発令で安倍首相が会見 ノーカット(2020年4月7日)

コミュニケーション能力

この記者会見の冒頭25分の大演説、もう周知の事実ですが、首相の前には「スピーチプロンプター」という装置が置かれ、演説に合わせて原稿が表示されます。安倍首相はそれを読んでいるだけです。さらにその原稿さえ、スピーチライターが書いているものです。

その後の質疑応答をみれば安倍首相のコミュニケーション能力がゼロであることがよくわかります。演説後の質問に対する回答がそれまでの演説の流暢さと比べても意味不明なことといったら恥ずかしくなるくらいです。隣りに座る専門家委員会の尾身茂氏の発言と比べれば、その内容はともかくとして、理解できる、意味がわかるということにおいては雲泥の差です。

外交にはコミュニケーションが重要ということは当たり前ですが、この能力で首脳会談の場ではどんなやり取りをしているのでしょう。考えただけでも恐ろしくなります。

その結果は、もう8年になろうかというその在任期間中の外交の成果がゼロということに端的に現れています。

政府組織が崩壊しているのではないか?

こんなニュースが流れています。

新型コロナウイルスの感染拡大に備える改正特別措置法(新型コロナ特措法)に基づく緊急事態宣言を巡り、西村康稔経済再生担当相が対象地域となった七都府県知事に、休業要請を二週間程度見送るよう打診した 

東京新聞:<新型コロナ>政府「休業要請延期を」 2週間知事会の補償要求、拒絶:政治(TOKYO Web)

え!? じゃあ、あの大層な安倍首相の記者会見は何だったの?

何が起きているのでしょう? 

  • 官邸が各大臣、各省庁をすっ飛ばして勝手なことをやっている
  • 各大臣が官邸の操り人形になっている
  • 官僚が人事を握られて自発的に動かなくなっている
  • 官僚内にも分裂、対立が起きている
  • とにかくみんなやる気が無くなっている

思いつきで書きましたが、現在の政府内はこんなところかもしれません。 

POST COVID19 の世界

この新型コロナウイルスが終息した時には世界が変わっているかもしれません。第二次世界大戦(太平洋戦争)で過去を区切るように、POST COVID19(新型コロナ後)と区切られて歴史が語られることになるかもしれません。

その時、この国はどうなっているのでしょう。

  

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  • 作者:安倍 晋三
  • 発売日: 2013/01/20
  • メディア: 新書